蝶ネクタイ屋の兄ちゃんからの連絡
ボンジュー ムッシュー サバ⁉︎
2019年6月25日 フランスパリからの知人より 私達のことを覚えていますか?
Le Minor/ ルミノアというブランドを買収しました。
ご存知でしょうか?
興味があるでしょうか?
興味があれば日本のビジネスのことで相談したいことがある、との連絡がありました。
Sylvain Flet とJérôme Permingeat 彼らとの最初の出会い
2015年4月23日 当時私は、プリントでのネクタイなどのアクセサリーを探しておりました。
「Le Flageolet」 というブランドを彼らは立ち上げており、フランスパリで初めて会った2人でした。
彼らは、ブランドを立ち上げたばかりでお店オープンの準備をしているとのこと。商談する場所がなくて…と 恐縮しながら カフェでサンプル広げての出会いでした。
彼ら2人は、ビジネスパートナーとの事。
20代後半にも見える彼らは、とても「気のいいアンちゃん」という雰囲気でした。
好青年で情熱を感じる彼らでしたが、その後半年間隔では会ってはいたのですが….
タイミングが悪かったのか?
結局ビジネスを始めることは出来ませんでした。
私たちは「蝶ネクタイ屋の兄ちゃん」と呼んでいました。
HUSBANDS(ハズバンズ)にて
2016年1月25日 HUSBANDS/ハズバンズ のファウンダー ニコラとMTGしていたときに スタイリングの提案として Le Minor/ ルミノアで試作していたニットのプロトタイプを2点見せられ、意見を求められたのでした。
両方好きだけど「ニコラのスタイルに合わせるならこっちがいいよ」と「日本ではストライプばかりで無地がないんだよね」と私。
修正点などを聞き一年後の商品展開を楽しみにしていました。
その一年後、HUSBANDS ハズバンズでの製品化は進んではいませんでしたが、ニコラは好んで自分のスタイリングに取り入れていました。
私は、この無地のセーターを日本で探したのですが無地は見つからず、渡仏時にパリ、サンジェルマンデプレにあるLe Minor のブティックに買いにいきました。
しかしながらバーゲンセール時期にもかかわらず店は閉店。
他にもLe Minor扱いを探しましたが、当時パリでは扱いが無く、購入することができませんでした。(仕方なくArmor- Luxで購入しました…)
後で分かったのですが、当時はLe Minorの経営が立ち行かず止む無くブティックを閉めており、現在は同じ場所でリニューアルオープンしています。
フランスGuidelでの再会
2019年11月25日 彼らに会いに パリ・Gare Montparnasse(モンパルナス駅)からTGVに乗り Lorient(ロリアン)で降り、(今回は、前日が日曜日だったので前乗りでした。)そこから車で20分弱アトリエ(工場)がある フランス西部Guidel(ギデル)に向かいました。
半年前に連絡を受けてから日本での現状レポートや今後の商品政策を含めたビジネスプランのやりとりは済ませていましたので、今回、文字では伝わらない部分の打合せと最終の契約内容の確認に顔を合わせて臨みました。
私が驚いたのは、生地の編立から製品の仕上げまで、このアトリエで全て完結させている点でした。
私の知る限り 日本では、生地の編立と製品を一貫で作るところは数が少ないのです。
しかも丸編みと横編みを両方できるところは、聞いたことがありません。
大多数は、それぞれ独立した別の事業者。いわゆる水平分業なのです。
フランス政府もバックアップしている Le Minor
その一貫生産体制の目的は、より良い製品を作るためにより適した生地を開発でできるという点にあるのです。
現在も変わらず糸の染色はフランス国内の事業者ですが、彼らが経営者に携わる以前は、ウール糸の紡績に関しては一部フランス以外のヨーロッパ諸国の事業者に外注していました。
しかしながら今後はもっと目の届きやすいフランス国内の業者に変えていく計画もあるようです。
残念ながら現在のフランス企業のほとんどは、諸外国に生産を委託しておりLe Minor / ルミノアのように、ここまでフランス国内で生産背景を整えている企業は存在しないようです。
男の顔は、仕事で変わる
それは、まさに彼らのことです。
昔からの従業員と新規で雇用した若い従業員も加え 40人を超える若き経営者の二人。
家族と共にパリから引越し本拠地をこの地に構えました。
彼らは、ただ単にブランドと工場を買収しただけでなく、先人たちが築いてきた大きな財産を更に地域の為だけでなくフランスという国全体に発展させていくかという計画についても熱心に語ってくださいました。
最初に出会った時の情熱は変わらず、ブランドの発展とフランスの雇用を守っていくという大きさ責任を自ら負った彼らに以前とは違う、頼もしさと余裕みたいのもの、自信なようなものまで感じました。
私は、これからそれらに携わることにできる喜びと責任の重さと緊張感を感じながらパリにもどるT.G.V.の窓に映る自分の顔を見てみました。
「俺は、変わったかな?」
メルスィー オバ!
crème de la crème
TOM