革靴の色抜け
ボンジュー ムッシュー サバ⁉︎
お客様からのお修理依頼でした。
Hardrige (アードリージュ)革靴の色落ちが酷く、 自分で補色しても色が上手く、のらないという相談を受けました。
この靴はデュプイ社のBOXカーフ使っています。
引用元:Les Tanneries du Puyさん
写真が、送っていただいた靴です。
靴を見てみると、このお客様は靴を脱ぐとき 、手を使わずに靴のかかと内側同士で脱いでいるようで 、踵内側に擦り傷が、ありました。
また、つま先部分左側に擦り傷が、集中しています 。両方のキズの箇所から色抜けしていました。
私も同じ革、色の靴を持っています。
気をつけているつもりでも、石畳の段差や側溝の金具にひっかかって傷をつけてしまう事があります 。
ショックでその日は、ブルーな気分になります。
さすがに 毎日靴を手入れはしませんが、一週間くらいの間隔で、手入れをします。
そのときは、まず傷の補修が第1と考えますので、 写真の無色乳化性クリームのどちらかを使います。
無色を使う理由は、補修用で販売されている茶色の色付きクリームは、靴の色と微妙に色が違う場合が多いので、色むらがおきてしまいます。
浅い、擦り傷くらいなら無色でも、甲革の傷のない部分からの色が、クリームに移りと色が染まっていきます。
乾燥してからは、残ったクリームを拭き取ります。それを様子を見ながら2度ほど繰り返します。
それで私の場合は、元に戻るのですが…
更に気になるような時はこの乳化クリームを使います。
色数は、豊富なので靴の色と合わせて選べば、茶色でも色ムラがおこることは、あまりないと思います。
修理前
染直し後拡大
染直し後
新品
このお客様の色抜けの考えられる原因は、やはり放置期間を含む、保管状態が良くなかった事だったと思われます。
それに、伴う革の乾燥だと思われますが、具体的な原因が、未だ特定できていません。
ここまで色落ちしてしまうと染直しをしなければなりません。
写真でも、確認できるように、ムラにならないように上手く染めは、できました。
独特の質感は、最初に比べると残念ながら変わり、人工的な仕上げに、なってしまいました。
靴の染色堅牢度JIS規格基準(色落ちの日本工業規格)
以下は、ご参考までに
日本は、人が身につけるものについて(洋服、下着、鞄等々)の色落ちの基準が他国と較べると厳しいです。
しかしながら革靴履物の甲部分(表革です、裏地革の基準は除きます)は、他の製品と較べれば基準が緩い、つまり色落ちは、し易いのです。
しかもJIS規格基準には乾燥時の染色堅牢度基準しかありません。
つまり濡れた状態での色落ち基準がないのです。なので乳化クリームでも色移りがするのです。
靴は地面に接する部分雨に濡れる事も多いですし、傷もつきやすい 厄介なものです。
JIS規格基準で選ばない、靴好きのおやじは多いのです。
仮に規格基準を今より厳しくすれば、独特な革の質感を愛する、革靴好きのおやじは激減するのかもしれません。
それを手入れして、化粧するのもおやじです。
手を抜いていると、いつのまにか夜電車の窓に映った自分の顔のようになってしまいます。
これからの季節 お肌も靴もやはり乾燥は、おやじにとっては、大敵です。
手入れを怠ってはいけません。
メルスィー オバ!
crème de la crème
TOM