ハズバンズ Nicolas Gabard(ニコラ・ガバール)との出会い

ボンジュー ムッシュー サバ⁉︎

2014年4月の土曜日

パリ市9区

SOPI

通称「SOPI」ソピとういう地区(下記地図の薄いピンクマーカー部分です)この狭いエリアに、若いクリエイター達が、自らのスタイルを発信するために、出店しているという話を聞いたので、行ってみました。

フランス パリ sopi の地図

誰が名付けたのかは不明なのですが、名前の由来は 、ムーランルージュで有名な歓楽街 PIGALLE(ピガール)という駅の「南」SOUTHにあるから 頭文字でそうよんでいるらしいです。

フランス語で南は確かSUD? 本来は、SUPIでは ?

フランスパリ ピガール

ピガールの夜は、日本でいえば歌舞伎町の雰囲気。少し危険な、ニオイがする街です。

ピガールから坂を下った先の地区は、楽器屋さんが多い。

反対側からのオペラだと徒歩で20分ほどの地域

食べ物屋さんは、小洒落たところもあれば庶民的なお店もあります。

フランスパリ9区坂

スーパー 果物屋 魚屋 肉屋そしてパン屋があり庶民の日常的な店。

その間に小さな洋服屋 靴屋など小洒落たお店が点在している。

決して裕福な人たちが集まるところではない雰囲気でした。

変わった街並みに感じました。

フランスパリ 9区 マニュエル通り

この下町とも呼べるメインストリートから横道に入リ先を見ると、そこは、行き止まりでした。

もう何もないかな?と思う道の途中左側に8坪程の小さなお店がありました。

フランスパリ9区husbands ショップ

ウインドウには Stockman(ストックマン)のトルソーにジャケットがディスプレイされシャツとネクタイは無地でした。

店の中を覗くとテーブルに置かれたMac Bookの画面を見つめているムッシューがいました。

その時の第1印象は テーラー屋さんかな ?

でも、他のパリで見る、いわゆる注文服のにおいは感じられなかった

ムッシューと目が合い「ボンジュール」と挨拶しお店にお邪魔した 。

これが ニコラとの初めての出会いでした。

Husbandsがつくるスーツとは?

husbands ニコラ・ガバール氏

話しをさせてもらうと ブランドは、この店からスタートしもうすぐ2年になるという。

彼は身長178 cm くらい 胸板は薄い 筋肉質ではあるが華奢で印象としてはヒョロっとしているタイプ。

彼の祖父がかなりの洒落物だったらしく クラシックスタイルが大好きだと

ブランドのスタイルは「スーツ 」それが基本。

ジャケット

作りはフルキャンバス 馬の毛を使った芯地を使い 構築的な肩と胸 それは英国の雰囲気でした。

当時、縫っているところは北イタリアでした。

彼は、素材も英国好き。

1番のお気に入り素材はフォックスブラザースのフランネルだった。

スタイルは ジャケットは、46サイズで着丈 74.5 cm と長め

フィットは、ドロップ8

トラウザーズ

前股上は多分28 cm以上はあり、完全にへその上。

ヒップは更に深く感じ、腰全体を包み込む感じだった。

おススメのディテールはベルトレス。

または、それにサイドアジャスター付き。

2014年当時としては 、全く世の中とは真逆の事をやっていた。

ただ裾幅だけは、17 cmでテーパードシルエットその時期としては普通だった。

いざ試着

ニコラは、是非着てみてくださいと。

私は身長174 cm。 ニコラとは全く違う体型。 上半身は肩幅もあり胸板が厚い。 猫背 前肩 下半身は上半身に比べて細い。足も短い。

マッチ棒を想像してもらえば良いかと…

日本人の中でも特別なブサイク体型 。

よくブランド殺しと言われていて 、それが、私のコンプレックスでありました。

私が着るとジャケットは脇から背中にかけへんなシワが出来綺麗に見えない(何を着ても同じなのですが….)アームホールのかま底は脇に吸い付くような感じ。

構築的な作りなので副資材も多く、更に ニコラの好きな英国の生地なのでずっしりと重かった。

ニコラのような体型にとっては、動きやすいようだが、 私には動きづらく着心地は良いとはいえなかった。

体型によりここまで着心地は違うものかという事を感じました。

ただ、トラウザーズは私でも不思議と足が長く見えたし 全体のバランスから ジャケットの長さもさほど気にはなリませんでした。

なるほど

このジャケットのシェイプ ポケットの位置 丈 それとトラウザーズの股上の深さとの全体のバランスがあって初めて 彼の表現したい「スーツ」と呼ぶのだと 単純に上下共布という事ではないのだと理解しました。

確かにこれでベルトが身体の真横に入ると バランスが崩れ野暮ったく見える

だからベルトレスだったのだ…

全体は、とてもシックというかエレガントで私が着ても「カッコいい」と感じました。

気のせいか鏡に映る自分が賢そうに見えました。

これがフランスのスタイルかとも感じました。

Husbands ブランド名の意味

表向き(?)は、アメリカの俳優であり映画監督であるjohn cassavetes(ジョン・カサベテス)のHusbands という映画からブランド名を名付けました

引用:YouTube

ハズバンズ 意味は、もちろん「夫 」。

伝えたかったことは、

家に帰れば奥さんに尻を叩かれ 家事も子供達の世話もする。

外では 仕事での人間関係 お金 etc… 

色んなものを目いっぱい背負い、四苦八苦しながら生きているおやじが、イメージ。

ただ 「ビシッとキメて」孔雀のような華やかを求めるのではなく 疲れたらひと息ついてネクタイを緩め 着崩しても「カッコイイ」

そんな着る人の内面を引き出せるようなスーツを作っている。 

それを着てもらいたいのです。

このニコラの話を聞いて私は、彼のファンになりました。

と同時に頭をよぎったのが 日本は「つんつるてん 」おやじスタイル 今真っ盛りだしなぁ… どうやって伝えようか…

日本のおやじ達に理解してもらうのは時間はかかるだろう…とアパートに帰る道々、考え続けました。

メルスィー オバ!

crème de la crème

TOM