お客様の違和感

ボンジュー ムッシュー サバ⁉︎

その日は、「HUSBANDS」のスーツを問合わせて頂き、ショールームに初めてお越し頂いたお客様との雑談から、考えさせられたことです。

試着を終えられて、他の商品を色々と、ご覧頂いた時の事でした。

お客様は弊社の他のブランドもご存じだったようで

お客様

「これだけ色々なフランスブランド商品の扱われているところって珍しいですよね? 一つ質問なのですが 〇〇〇〇〇ってブランド御社扱われ事ありますか?」

(※〇数はブランドとは関係ありません)

「そうおっしゃってくださると有り難いです。でもそのブランドは扱ったことはございません」

後で分かったのですが、お客様は、私に気を遣ってくださったようで 私の答えを聞くと

お客様

あのブランドは、本当にフランスのブランドなのですか?」と

あのブランドとは?

私が、あのブランドと同じアイテムを最初に日本で販売させて頂く時でした。

ブランド側とのミーティングの際に、そこのフランスおやじから、日本で人気のフランスブランドを教えてくれないか?と

私は、予め資料は、用意していたので あのブランド含め2ブランド程 名前を挙げ資料を見せました。

おやじは「知らないなぁ」「聞いたことがないよ」

「なにこれ?」 ちょっとバカにした感じ

それでも、彼らも日本市場で成功したいという想い。念のために、若いスタッフ達にも聞くのだけれども、誰も知らない…

販売側の人達にも、調べてもらうが、結局分かりませんでした… ???

そういえば、色々リサーチしたけど、パリ市内でも、フランス国内でも見たことないなあ とその時の私は、その程度でした。

別の議題になった時、彼らに、日本の品質管理の厳しさ等、生産段階に関わる話しをしていました。

彼らは自分達のグループで日本から依頼を受けた製品の生産だけを請け負っている、アトリエ(工場)がある。

そのアトリエとの情報交換の中で、日本の厳しさ、日本人の細かさは、充分聞いている。

品質基準データも入手可能なので、大丈夫であるとのことでした。

それから数年後

別の機会で 、その日本製品を作っているアトリエを訪問する事になり

移動の車中、そのアトリエの担当者に聞きました。

「日本の製品も作っているって聞いたけど何というブランド?」

「何ていう日本会社からの依頼?」

答えは なぜか?会社名、ブランド名は答えず 百貨店、大手セレクトショップ等の弊社とも取引のある先の名前を挙げました。

私は「担当バイヤーからそんな話し聞いた事ないなぁ?お店のオリジナル商品かなぁ?彼らもフランスの田舎の小さなアトリエで良い商品作ろうと出向いて頑張っているなぁ」と商品を見せてもらうのを楽しみにしておりました

 アトリエに到達

そのアトリエにあった商品をみて 私は、思わず、爆笑してしまいました。

しかも日本語で書かれた仕様書と、並んで置いてあったからです。

それは、「あのブランド」だったからです…

アトリエの人達は、なぜ?私が笑っていのかを、しきりに尋ねてきました。

なぜ笑ってしまったのか?

親しい間柄のバイヤーから「あのブランド」の裏話?を聞いていたからもしれません。 まさか自分が少なからず関係するところで目撃するとは…

今考えると

それは「お客様が感じられていた違和感」と同じだったかもしれません。

私たち供給側は、こういう事に麻痺しているのだなぁと…

WEBであのブランドを検索して色々なお店サイトでのブランド説明、商品説明を見ると「嘘」は一言も書かれていません。私が、見た限り全て真実なのです。

ただ、昭和の時代ならいざ知らず… こんなこと、世間様に通じるものなのかと…?

じゃあ 自分達の扱っているブランドはどうなのか?

自問自答しました。

現在お付き合いさせて頂いている、フランスおやじ達。

自分達のお店を持っているおやじもいれば、お店は持っていないが、フランスでも、ヨーロッパの各国に、販売している。自社ブランドは、もちろんながら、日本でも良く見聞きする、一流といわれている有名ブランドの下請け仕事もしている。

生産地はフランス(自社工場もあれば外注工場もある) 他国でもイタリア、ポルトガル、英国、スペインの外注工場で作っている。

私自身 一時期 フランスのブランドはフランス生産とこだわって フランスの東西南北あらゆるところに行き探し廻った経験があります。

色々な人たちと話をさせていただきました。

その過程で知った事

加工賃(商品から原材料を引いた金額)

ざっくりとですが

南イタリアをとすれば

ポルトガルは、0.8

北イタリアは、2

英国とスペインは、ほぼ北イタリアと同じ

フランスは、3

色んなフランスおやじと知り合い、どうしようもない現実を知るに従い

フランス生産だけに、こだわるのは、本当にお客様のためなのか?

おやじ達が、ああでもないこうでもないと

いろんなものを目一杯背負いながら

お客様からの笑顔を見たいという想いで商品を作っている姿が

魅力的でありカッコイイと感じるようになってきました。

私は、そういう人達との繋がりを大切にして、それらを伝えていくのが自分たちの仕事ではないのか?と改めて考えました。

メルスィー  オバ!

crème de la crème

TOM