洋服のないパリの洋服屋
ボンジュー ムッシュー サバ⁉︎
パリでの出張時、次のアポイントメントまで時間ができたので、あまりパリっぽくない店がありました。
ウインドから、どんな?お店かなと、見ていた時の事 でした。
いきなり、ドアが開いて 中から怖そうなおやじが出てきました。
手招きして、入って来いと…
おやじ「日本人か?」「ファションウィークでパリに来たのか?」
店に入れていただき、私が自分の仕事の内容を説明すると、おやじが、自分達の事を色々教えてくださいました。
このおやじ達は、1980年代から2010年までパリ市内に5、6店舗を構えていて、
いわゆる日本でいうセレクトショップだったようです。
かなり手広くやっていたようですが、年々ビジネスは下降線…
とうとうリーマンショック後に、全て店を整理したとのことでした。
その後、アメリカに渡り、再度小売店の勉強をしたそうです。
帰国後は、 ヨーロッパ中の生地屋 、工場を回って パリのおやじ達に喜んでもらえるよう色々考え、 再度この店を開いたそうです。
現在は、このお店1店舗
前と比べて規模は、全然小さいんだ。でも前より儲かっているんだ!
内緒だよっ🤫 と。
商品と今の自分達のビジネススタイルを色々と説明してくれました。
それだけでなく フランスのおやじスタイル等々 本当 に、色々と教えてくださいました。
お店には、お客様も何人かいて おやじと私の会話している姿を「また やっているよ !このおやじ…」とそれくらいに、見ていました。
おやじ
「ところでお前は 、フランスのブランドって 何を取り扱っているんだ?」
私
「HUSBANDS」
おやじ
「 ハズバンズってニコラのところか?
あいつのところは今、パリで注目されてきて調子良いらしいじゃないか!他は?」
私
「Caulaincourt」今履いている靴です。
おやじ
「お前コーランクールもやっているのか?」
「あいつら未だ若いが、良いものを作っているよ。 押し付けのブランドでなく地元のお客さんのこと考えているからなぁ」
「 他は?」と
その話を聞いていた店のお客さん、私が取り扱いブランドをご存知だったようで、私を見る目が変わりました。
おやじ
「いいものやってるなぁ」
「日本も昔に比べて景気は良くないのだろ?」
「人口も減っているらしいし、これからは、大きな成長は見込めないだろ?」
「日本も、このパリやヨーロッパみたいに貧富の差が広がるんじゃないか?」
私
確かにそうだなぁ…と
フランス人は、自分の価値感に合わないものは買わない倹約家が多いのです。
洋服に限らず、 物を大切にする文化があると思います。
バーゲンセールがあるところなら、その時しか買わない。
セール以外で、買っているのは外国人ばかり。
30年前なら日本人。
今は、それに代わって、中国人です。
よく彼らと街で出会うことがありますが、圧倒的に購買力が違います。
帰りにはおやじの出身地? ローヌのワインをくださいました。
おやじ
「 今度パリにくる時は日本酒もってこいよ」
それと「いつでもおいで」と、おっしゃってくださいました。
このおやじとは取引はありません。
時間があれば 日本酒持って話しを聞きに行きます。
今度飲み会誘おうかなぁ…
後日 HUSBANDS ニコラは、このおやじから私が行った事は、連絡があったようで、聞いていました。
ニコラも色々とこのおやじには相談しているようで 見た目もそうですがちょっとしたパリ メンズファッションの親分的存在のようです。
こういう優しいというか とにかくあたたかい 愛すべきオヤジ達。
フランスにはこういった人たち、マダムもムッシューが、本当に多いのです。
ちなみに「洋服のない洋服屋」は、このおやじ達のコンセプトだそうです。
メルスィー オバ!
créme de la créme
TOM